稲作のこと



 
私たちの、稲作についてお話したいと思います。
長いので、お暇な時にでもご覧いただければ、嬉しいです。


 
浸種 (立夏)

 
 
毎年5月初旬頃、本格的に稲作が始まるんです。
まずは昨年収穫した籾(お米)から、種籾を選別します。

昔から「塩水選」といい、卵が浮く程度の塩水に籾をドサッと入れます。
塩水に浮いてしまう軽い籾は、スカスカなので種もみとして使わず、
塩水に沈む重い籾を、種籾として使います。

選別が終わると、眠っていた種もみを山水に数日浸しておきます。
こうすることでお米は目覚めて、発芽します。これを、「浸種」と言います。

私たちの育てた玄米は、天日干し籾保存なので、水に浸すとほぼ100%発芽します。
皆さんのお手元にお届けしている玄米も、もちろん生きているので発芽します。
ぜひ発芽玄米を試してみたり、出来る方は一度お米を秋まで育ててみてはいかがでしょうか。

さて、種籾の発芽始まり、芽が出そろった所で、種まきの作業を行います。




苗床 (小満)
 

写真は浸種から、3週間ほど経った苗達です。
品種は、コシヒカリと神楽餅。今後もこの2品種を育て行く予定です。


尚、種子は自家採取です。
苗の土は、肥料を含んでいる土を購入しています。



実は、私たちの種まきは、近所の農家さんたちと比べると、毎年遅いんです。
遅くしているわけは、ビニールハウスを使わずに、外の田んぼで苗を育てているからなんです。

「八十八夜」という言葉をご存知でしょうか?

古くから、最後に霜が降りる日の目安として作られた暦です。
夏も近づく八十八夜〜♪という「茶摘み」の唄がありますよね。
立春から数えて88日。

ビニールハウスを使わないと、温室で苗を育てる事が出来ないし、苗を霜から守ることができません。
だから、霜が降りなくなり、気温が上がってきた時期に、種蒔きをするんです。

外の田んぼで苗を育てる事は、ビニールハウスの中と比べ、気温も低く、寒暖の差が大きくなります。


小さい苗たちには、厳しい自然にさらされて、健康で丈夫な苗に育つと考えています。
除草剤・化学肥料を使わず、稲を育てるには、まず第一に強い稲になってもらわないといけないですもんね。

おかげで、苗の成長はお天気次第となり、新米の収穫時期も遅くなってしまいますけど・・・。

 



 
田植 (芒種)
 
 
 
苗も大きくなってきた所で、いよいよ田植えです。
写真は、田植えをしやすくする為に、代掻きという作業をした田んぼの様子です。

 



 
私たちの苗は、近所の農家さんと比べると、とても大きいのです。
大きく育てることは簡単です。種と種との間隔を大きすれば、
苗はたくさん根を張り、太陽をたくさん浴びて大きくなります。


実は、除草剤を使わない場合、一番草取りの大変な時期は、田植え後一月ほど(稲が小さい頃)なのです。
稲が小さいので、土に太陽が届き、草の勢いはすさまじいです。


普通何もしない田んぼは、1ヶ月あれば一面水草ぼうぼうになります。
当たり前ですよね、この時期に草の生えない土はありません。

だから大きな苗に育てて田植えをすることで、少しでも早く稲が大きくなり、
土に届く太陽が少なくなり、草の勢いをゆっくりさせるという考えで稲を育てています。



 
早苗 (夏至)

田植えから、数日が経ちました。
元気に育っている苗です。





一粒の小さなお米が、こんなに立派な姿になりました。
秋には、もっと大きくなって何百粒の新しいお米が実ります。

無事に田植えを終える事が出来て、感謝です。



 
草取 (小暑)





梅雨明けて、夏を感じる7月が来ました。
この時期は、朝夕涼しい時間は休みなく草取りです。

田んぼの草取りは、「 田車 」 という小さな農具を使って行います。
一本一本草を抜くのではなく、田車を押して土をかき混ぜ、草を土の中に沈めるんです。



効果はありますが、3日ほど過ぎると、このようにすぐにムクムク生えて来るんです。

一般的に言われている「除草剤○回使用」・「減農薬(除草剤を一度しか使用していません)は同じ事。
1回でも2.3回でも除草剤を使えば、草は生えてきませんが、
「除草剤を使用していません」となると、草は生えます。


私たちは、除草剤を使用しない理由は二つ。

一つ目は、食べる為にお米を育てている田んぼに、
人体にはよくない除草剤を、手袋してマスクして散布することは、おかしいと思うから。


二つ目は、自然に逆らわず、持続可能な田んぼを育てる為に、自然に逆らう事はおかしいと思うから。

はざかけでは、田んぼに化学肥料を使用しません。
稲の副産物である藁・籾殻・米ぬか・くず米を田んぼに返すだけだです。
他の不自然なものは田んぼに入れないことにしました。


山からの水と、田んぼに生きるたくさんの生物たちが、お米に必要な栄養をいくらか与えてくれます。
農薬は、手間を省いて収穫量を増やすための手段ですが、田んぼは薬漬けで健康ではないです。

どちらも良い点・悪い点ありますが、無農薬は手間の多さと収穫量の少なさは困った事です。


 
青田 (大暑)
 

子供たちが夏休みになる頃、稲たちは根をびっしり張ると、
一気に分けつが進み、立派な姿に成長します。

ここまで成長すれば、土は稲の陰になり草取りの作業は落ち着きます。


この稲をお母さんに例えると、今はたくさんの子供(お米)を育てるための丈夫な体を作っている時期です。
もうしばらくすると、お米の花が咲きます。





 
 

出穂 (立秋)
 


田んぼの草取りは落ち着いてきますが、畦から家の周りまで、草刈り草刈りでへろへろの時期です。



稲は、先日花を咲かせ、稲穂がほんのり丸みを帯びてきました。
穂の周りにくっついているのが、枯れた花びらなんですよ。
ここからは、丈夫な体に成長したお母さんが、元気な子供を育てていきます。




 
稲穂 (処暑)



夕暮れ時は、秋の気配を感じる夏休みの終わり頃。
稲穂が、垂れてきました。

うちの田んぼは、稲作を知っている方が見られると、貧弱で虫食いが多いように見えると思います。
除草剤を使えば草を抑えて、肥料を使えばたくさん収穫でき、殺虫剤を使えば虫は来ないんですけど・・・。
それでも、自然のなかで精一杯生きているこんな稲たちが、やっぱり好きです。

商品については、籾擦り・精米の時に、虫食い米や粒の小さいお米は取り除いて、発送していますのでご安心ください。
余談ですが、取り除かれたお米は、肥として田んぼにお返しです。



ここまで来ると稲刈りまで、あと一カ月ほどです。

9月下旬頃から稲刈り・はざかけ、10月中旬頃に脱穀、その後検査を経て発送です。
はざかけは、乾燥機にかけているお米より、新米発送が半月ほど遅れるんです。

皆さんには、もうしばらく新米をお待ちいただかねばならない時期です。



 
稲刈り (秋分)



秋晴れの中、稲刈りです。
草にも負けず元気に育ってくれました。



刈った稲は、そのままハザに掛けて天日干しです。


 
脱穀 (寒露)



無肥料無農薬の稲です。草だらけの田んぼですが、よく育ちました。



そして、はざかけです。毎年、この姿を見るのが好きです。






収量は、周りの田んぼの5割から7割ほどです。
無肥料の場合、単純に外から田んぼに入る栄養は、山からの水と雨と鳥のフンぐらいです。
残りの栄養は田んぼの中で、生み出してもらわないといけない訳なんです。
収穫量を最優先しているわけではないですが、欲言えばもう少し取りたいですね。


田土(小雪)



稲刈りを終えた後の田んぼです。
無農薬無肥料の私たちの田んぼでは、稲刈りから田植えまでの田んぼを使っていない間は、
植物や微生物や動物たちが冬を越しやすい環境を作ってあげるようにしています。
彼らの活動が、来年の稲を育てる栄養に繋がっていると考えているからです。



自然にお米を育てるには、自然に逆らわないことが大切です。
目指すべき自然は、人の手が入っていない山や森だと考えて、日々考え動いてるんです。